2009/02/08

【絶景】冬の富士山・石割山の頂にて

例年ならこの時期の登山道は深い積雪や凍結によって軽装備の登山者を拒絶する石割山。今年の登山道には現在まったく積雪はなく、日中は凍結もありません。とても珍しい事です。

午後2時、夕日の富士山を見に石割のてっぺんへ行こうと思い立ちました。
その時は積雪が多少はあるだろうと思い、スノーシューとストックをバックパックに縛りつけ、水も多めに持ち、日没後になるであろう帰路を-5℃くらいに想定してミディアムゾーンに対処する服装で出掛けました。


登山道入り口は中腹にある石割神社の参道入り口にもなっています。
高低差約400mの1/3ほどを階段による直登。
冬の間室内に篭り、鈍り切った体に加え増加したウェイト・・・。 すぐに肺と大腿四頭筋が悲鳴を上げる。 

『やっぱ帰ろっかな・・・』という思いが頭をよぎります。
『他に登山客もいない。たった一人、誰に見栄を張る必要もない、ゆっくり登ろう』と自分に言い聞かせて前へ前へ。 すでに体は大汗をかいています。 暑い。こんなに厚着は必要なかった・・・。





今ここで熊に出合ったら、逃げ切れないだろうって思う。(苦笑)







振り返ると過ぎの木立の下に小さなダムの水面が綺麗に見えます。




登り始めから一気に体力を消耗し、やっとの思いで階段を登りきると避難所と書かれた小屋。

私の場合、座ってしまうと一気に士気が低下する事はわかっているので、水分補給のみで再び前進。








ここからは、しばらく軽い登りのハイキングコースが続きます。足元に眼をやると、湖畔の土壌(宝永火口からの噴出物)とは明らかに違った土になります。造山運動によって隆起した山体には大きな岩が目立ち始めます。






登山道に残る雪はたったこれだけ・・・。

(背中にくくり付けたスノーシューを思い出し、こっぱずかしさに笑いが込み上げる)
















やがて富士山が左手に見え隠れし始め、なだらかな登りも終わりを告げます。
登板角度が徐々に厳しくなります。 




数年前「山と渓谷」誌に山中湖の山々を巡る登山道が紹介されたのを期に、全国から大勢の皆さんがいらっしゃいます。荒れた道は整備され、神社まではとても歩きやすくなりました。 
石割神社のお社は目前です。



登山道はやがて日陰に入りますが残雪はまったくありませんでした。
この辺りから道がつづら折になり始めます。ご神木でもある大きなカツラの木の向こうが石割神社。








いつ行っても荘厳な石割神社へお参りして少し休憩。

落葉広葉樹に囲まれたお社ですが枯葉1枚はおろかゴミ一つ落ちていない。おそらくここへ通って掃除をしている信心深い方がいらっしゃるのだろうと思います。


さあ、ここからは厳しい道です! 地面を這いつくばって登るような場所やロープを掴んでよじ登る場所が何箇所もあり、不慣れな方にはちょっと厳しい道かと思います。



久しぶりの登山にすっかり息が上がってしまいながらも約45分で山頂へ辿りつきました。前回はもっと早かったのにな・・・。


しかし、いつ来ても『絶景』の一言につきる場所です。
眼下には山中湖・忍野村・遠く富士吉田市。どか~んっ!と真正面に雄大な富士山。その左側には遥か南アルプスの山々・・・。
疲れなんていっぺんに吹き飛んでしまいます。


ひと時、絶景を堪能しながら心の洗濯。
山頂の気温は簡易温度計で、なんと8℃!大汗をかくわけです・・・。 温暖化の影響でしょうか、富士五湖地方・標高1400m付近における厳冬期の気温ではありません。





太陽が富士山の嶺に近づくにしたがって、景色はさらに秀麗さを増します。






「日が沈んだあと、真っ赤な夕焼けに浮かび上がる富士山を見たいな・・・。何ならここで夜を明かして朝の紅富士も・・・」などと強く思いながらシャッターを切るのですが、野営の装備まではしてこなかったので、後ろ髪を引かれる思いで下山。






左手に月が輝き始め、少しだけ焦る・・・。 




欲求に負け、もう少し山頂に居たら真っ暗な登山道を下山する事になっていました。(汗)


帰宅後、普段の数倍は気持ちの良い風呂と死ぬほど美味い夕食を腹いっぱい食べ、冬の軽登山は終了しました。
ご注意!
この日記は2009年2月8日のものです。
登山を計画なさっている方は、最新の気象状況を基に、登山道の積雪の情報などをしっかりとお確かめの上、綿密な登山計画をお立て頂いてからお出掛けください。

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